疾患の説明 - 堺市堺区一条通　眼科 | 井上眼科クリニック

ノイズ視野検査 （noise-field perimetry、ノイズ フィールド テスト、noise-field test）
－ 視野障害、緑内障の自己チェック、緑内障早期発見 －

｢ノイズ視野検査（ノイズ フィールド テスト）｣とは、患者さんに視野異常を自覚していただくための簡単な視野検査です。種々の病気で視野欠損があっても自覚症状がない患者さんが多数おられます。特に緑内障の患者さんは進行期まで自覚症状がないことがあります。しかし、このような患者さんでも、ノイズ映像を観ていただきますと、視野欠損部分に一致して、「ちらつきがない、ちらつきが少ない」、「曇って見える」、「黒っぽく・灰色・グレイ・白っぽく見える」などの異常部分があることに気づくことができます。この検査方法を「ノイズ視野検査（ノイズ フィールド テスト）」と呼んでいます。

• 検査は、ノイズ映像を観るだけです。
• 正常な目では何も見えませんが、異常があれば数秒で何かが見えてきます。
• 目だけではなく、脳内の異常が分かることがあります。

検査手順

準備

部屋は暗い方がよいです。ディスプレイに電灯など他の光が写り込まないようにしてください。

パソコンおよびディスプレイの推奨設定（必須ではありません）

• パソコンは、できるだけ性能のよいものを使ってください。古いパソコンは、ノイズのちらつき（周波数）がおそくなります。
• ディスプレイは、大きい方が適しています。推薦は20インチ以上です。
• ディスプレイの明るさは最大にしてください。

【検査開始】

1. 目とディスプレイの距離は、検査画面の高さと同じ距離にしてください。
   
2. 片目ずつ中央の赤い点（固視点）を見つめてください。一方の目は手で隠してください。
   注）ノイズ画面に右目用、左目用の区別はありません。どちらの目から始めても構いません。
3. ノイズ画面は水平・垂直経線で4分割されていますので、それらに違いがないか、確認してください。
   ノイズが全画面で同じように見えれば、正常です。 ⇒ 一方の目の検査へ

   【例1】

   

   【例2】

   
4. ノイズの中に他の部分とは違うところ、「ちらつきがない、ちらつきが少ない」、「曇っている」、「黒っぽく・灰色・グレイ・白っぽく」 見える部分がないか、確認してください。
   注）これらの部分を便宜上「陰影」と呼びます。
5. 右目と左目で違いがないか、交互に確認してください。
6. 陰影が見えたら、固視点と経線との位置関係を確認してください。
7. ノイズ粒子を変更して、比べてみてください。
   粒子の大きさによって陰影の分かりやすさが変わってくることがあります。
8. 白色静止画、黒色静止画と比べてみてください。
   静止画と比べると、ノイズでの陰影がはっきりしてきます。

☆何らかの陰影が常に同じ場所に見えるかどうかを確認してください。
 異常があれば、数秒で分かります。検査時間の制限はありませんが、5秒～10秒で十分です。

結果判定について

陰影が常に同じ場所に見える場合は、何らかの疾患がある可能性があります。
何も見えない場合は正常ですが、疾患があっても、この検査で異常を検出できないことがありますので、ご注意ください。

こんなときは

中央の赤い点が見えない。

重篤な眼疾患が疑われます。至急、眼科受診をお勧めします。
なお、すでに眼科診療を受けて納得されている方は、その限りではありません。

陰影が見えるが、動く、一定しない。

白色静止画を見てください。白色静止画でその陰影がノイズ映像よりも強く感じられる場合は、「飛蚊症」の可能性が高いです。通常、視野欠損では白色静止画を見ると、「何も感じない」か、「陰影があっても薄く」なります。
注）飛蚊症は、飛蚊症に対する検査が必要です。

ノイズがチラチラして、別のノイズが見えてくる。

10数秒以上見続けると運動錯視が出てくることがあります。黒色静止画とノイズ映像を交互に見てください。または、ノイズの粒子を変更してください。通常、消えます。

固視点を通る水平経線上で外側（耳側）に円形の陰影が見える。

マリオット盲点を自覚することがあります。片目だけの場合も両目の場合もあります。両目でも左右で陰影の大きさが異なることがあります。病的な場合と正常範囲内の場合があります。

【例3】マリオット盲点

【左目】

【右目】

その陰影が見えた部分に赤のマウスポインタ  を移動させてください。再度固視点を見つめて全画面を確認してください。その陰影の中に赤のポインタが見えなければ、それはマリオット盲点です。また、その他の自覚した陰影の中へポインタを移動させると、ポインタが見えなくなることがあります。
注）マリオット盲点とは、視神経乳頭に一致する盲点で、健常者にも存在します。通常自覚されることはありません。

陰影が右目も左目も同じ側に見える、または同じ側が見えない。

右目も左目も、同じ側（左側または右側の半分）の視野欠損（半盲）で、同名半盲といいます。
後頭葉脳梗塞等、後頭部の異常の可能性があります。視野欠損が広い場合は陰影は認識できず「その方向は何も見えない」という感覚になります。
後頭葉脳梗塞の場合は、ある方向が急に見えなくなります。至急医療機関を受診してください。

【例4】右後頭葉脳梗塞による左下同名半盲

【左目】

【右目】

陰影が右目も左目も外側（耳側）に見える。

下垂体腫瘍等、視交叉（脳内で左右の視神経が交叉する部分）の異常の可能性があります。

【例5】下垂体腫瘍による両上耳側1/4盲

【左目】

【右目】

緑内障では、内側（鼻側）に異常が出ることが多く、左目と右目は一致しないことが多いです。

以上、疾患の可能性のある方は、医療機関を受診されることをお勧めします。

ノイズ視野検査・正規版とWeb版の違い

正規版（当クリニック内で使用しているノイズ視野検査）は、コンピュータグラフィックスにより直接ディスプレイに映像を描画するものです。Web版は、Web上に乗せるためにその映像を動画ファイル変換したものです。そのためWeb版はノイズの画質とランダム性がやや劣ります。